ストーリー

第6話 博士をさがせ!異星人との遭遇

地球へ行ける、と聞いたバーツたちが、おばさーん、とケイトのいる管制室にやってきた。が、ケイトの横顔は暗かった。クレーク博士が敵に襲われたのだ。

その話をマキから聞き、スコットは思わず大声をあげた。マキがそれを遮る。周りには小さい子供達がいる。その子達には心配させないように、と言われてきたのだ。

クレーク博士との通信記録を、ケイトはバーツとロディに聞かせた。博士の捜索に行くしかない、と二人は言う。ベルウィックを最もよく知っているバーツが、博士からの連絡が途絶えたバルチカンなら、車を飛ばせば半日もあれば着く、と言う。そこにやってきたクレア・マキ・スコット。博士の捜索のことを聞いたスコット、「(博士は)死んだんじゃないのか」と、今最も言ってはいけない発言。すかさず、あんた暗いんだよ!とマキが突っ込む。「敵に襲われた」という言葉で、心配性のスコットの思考は一気に飛躍してしまっていたらしい。そのことを考えまいとしていたケイトは、必死に動揺を押しとどめようとした。バーツが、あのおっさんはちょっとやそっとのことじゃ死なない、とフォロー。クレアも、頑丈そうな体をしてらっしゃったし、とお上品に付け加える。マキも、今頃歩いてこっちに向かってるかもよ?と明るい声で言った。ありがとう、あなたたちの言う通りかもしれない、あの方がそんなに簡単に死ぬわけがないわよね、と子供達の言葉に勇気づけられたケイト。博士の捜索が決まった。

捜索隊は、ケイト・ロディ・バーツの三人。留守を頼むわね、とケイトがスコットに言うが、スコットは心配顔。もし、留守の間に敵が現れたら…と言う。おれたちがいてもいなくても、やることは一つだろ、とバーツ。戦えというのか、と驚くスコットに、はなから負ける喧嘩はやることはない、熊と出くわしたときみたいに死んだふりをすればいいんだよ、といいことを言いながら腰の銃をかっこよく振り回そうとして、かっこわるく取り落としてしまったバーツ。それを見て、なるほど、といいながら安堵の表情で笑うスコット。一人心配なのがいるけどな、とロディ。合点顔でクレアが、彼ね、と言う。噂の彼がくしゃみ。掃除当番なんて断じて男の仕事であってはならん!と一人叫ぶケンツ。

明日の今頃には戻れると思うわ、という言葉を残して、三人はアゾレック基地をあとにした。見送るクレアたちのところへ、にいさんたちどこいったの?とフレッドたちが駆けつけてきた。クレアは、博士をお迎えにいったの、と答えた。何かを察したのか、ペンチの、何かあったの?という問いに、心配ないのよ、輸送機が故障しただけだから、とうまく答えるクレア。

砂漠の中を2時間も走っているのに、何も見えない。もうすぐオアシスが見えるはずなんだけど、とケイトが地図を広げたのを、後ろの荷台に乗っていたロディが覗き込む。しかし、地図よりもケイトの胸元の方に目が行ってしまって一人赤くなるロディ。
方向は間違ってない?と言うケイトに、大丈夫、ここはおれの庭みたいなもんだから、とバーツ。V-80の改造車転がして、レースやって遊んでいたのだと言う。開拓途上のこの星には、あまり娯楽がなかったらしい。そんな話をしていたケイトが、ふいにロディの様子に気付き、どうしたの、と声をかけた。慌てるロディ。
バーツの話が続く。実はバーツが親とはぐれたのは、車のためだった。ドンパチが始まったとき、車を隠そうとあちこち走り回ってる最中に攻撃され、しばらく気を失っていた。気付いたときには街はガタガタ、人もいなくなっていた。そんなとき、片足のディルファムをひろったのだ。最初は自分の車の復讐をしてやろうと思っていたのだが、自分の体は自分で守ろうと思った、と言う。そのおかげで、こんなんなっちゃったけど、と欠けた前歯を茶目っ気たっぷり(マジな話の照れ隠し?)に見せる。笑う三人。

暗くなりかけたオアシスで、キャンプの準備をする三人。ワイルドなバーツはコンプレッサーの使い方もちゃんと心得たものだ。
食材を取りに走ったロディの目の前に、見たこともない毛むくじゃらの動物が走りよってきた。何だ?とかわいらしさに思わず近寄り手を差し出そうとするロディ。そのとき背後から、バーツの動くな、という声がかかった。同時にバーツはその動物を銃で撃ち殺してしまった。何をするんだ、と半ば怒るロディに、死ぬところだった、とバーツ。あのかわいい毛むくじゃらは殺し屋で、「ギャンザー」といい、かまれたらあっという間にあの世往きなのだという。そんなふうには見えなかった、とロディは言いながら、ギャンザーのしっぽをつまみ上げた。すると、体はもうついてないのに、しっぽだけが激しく動く。気持ち悪い、と思わず手を離すロディ。

アゾレック基地では、乾燥機が故障中。一応修理を試みたものの、スコットの手には負えないらしい。朝までそれで我慢してて、とシーツをかぶったケンツがクレアに言われている。そこに、がきんちょどものパンツひっぺがすのに苦労したぜ、と言いながら、洗濯物が入ったバケツを抱えたシャロンが現れた。バケツを勢い良く台の上に置いたとたん、洗濯物の何枚かがバケツから飛び出、そのうち一つがケンツの頭の上に落ちた。イチゴの模様のついたそれが何なのか一瞬わからずじっと見るケンツだったが、女物のパンツだとわかると真っ赤な顔で立ち上がり振り落とした。わーわー叫びながらランドリーの階段を駆け上がるケンツ。ああ、おれのパンツじゃん、かわいいだろ、と、まるで見せびらかすようにパンツのゴムを伸ばすシャロンに、スコットも目をそらして困惑。それらの反応にシャロン、案外純情少年が多いんだねえ、とコメント。

夜空に上がる花火のような、戦闘の砲火。それを見て、よかった、とスコットは安心顔だ。戦地が遠いからだ。この分だと、ここがやられることはなさそうだ、と。片方でパンツ一丁のケンツが、こんな格好でなきゃ応援に駆けつけるのに、とくしゃみをしながら悔しがっている。乾燥機の故障は不幸中の幸いだったようだ。

オアシスでは、三人が食事をしながらクレーク博士の話をしている。ケイトと博士は、ベルウィック星の学術調査隊で知り合ったという。あのおっさん、いつもあんな感じ?とバーツがケイトに聞いた。なんとなく、ムッツリスケベエみたいな感じ、だとバーツは感じていたようだ。酷い言い方ね、と笑うケイト。無口なのは頭の中が仕事でいっぱいだから、他のことは全然耳に入らないの、奥さんになる人いないわね、と言うケイトに、ケイトさんは博士が好きじゃないの、とロディが言った。わたしが博士を?と驚くケイトに、バーツもうなづく。そうねえ、とちょっと考えて、好きよ、とケイトは言った。じゃあ、結婚するの?とロディが子供らしく素直に聞くのに、好きなのは仕事仲間としてだ、と答えたケイト。それを聞いて、ロディとバーツは口々に、やっぱりな、タイプじゃないと思ってたんだ、とか、あのおっさんどう見ても女にモテるタイプじゃないもんな、と勝手なことを言っている。
夜、水浴びしているケイトが、その会話を思い出しながら、タイプじゃないか、とつぶやいている。クレークを案ずる気持ちを振り切るかのように、勢い良く泳ぎだすケイト。
夜行性のギャンザーが近づかないように、熱いくらい盛大に火を焚いていたバーツが、気にならないか?とロディに言う。ケイトさんのことか?とロディ。トイレにしては長いねえ、と首をかしげる。大体検討のついているバーツは、ちょっくら見に行くか、とロディを誘い湖へ。

湖で泳いでいるケイトを見つけて、やってるやってる、と喜ぶバーツ。まずいよ、と一応言うロディに、いいじゃないかこんなチャンス滅多にないんだから、とバーツは赤外線スコープまで持ち出そうとジープへ取りに戻ってしまう。そんなバーツに呆れながらもケイトのことはやはり気になるロディ。湖からあがってきたケイトの姿を声もなく見つめている。赤外線スコープを取って戻ってきたバーツにふいをつかれた格好になったロディは、思わず声を上げてしまった。誰、と振り向いたケイトに、気が動転したのか、立ち上がって、僕、何も見てません!と答えるロディ。ばっきゃろー!とバーツが、そんなロディの首根っこを引っ張って一目散に逃げ出した。そんな二人を微笑ましく見送るケイト。

洗濯物を干しているクレアのまわりをホタルが飛んでいる。スコットが、クレアとのことを述懐している。君と知り合って4年になるけど、その間ぼくはクラブの班長としてしか見てなかった、でも今は違う、と。その言葉に、どう違うの?と聞くクレア。うまく言えないけれど、とちょっと考えて、スコットは、あのころの君は規則一点張りで、取っ付きにくかったんだ、と言った。クレアは、指にとまったホタルを示して、言った。虫の名が「スターダスト」ということ、地球にもこれに似た虫がたくさんいるらしいこと。大分減ったらしいけどね、とスコット。夜空に舞うホタルを見ながらクレアは言う。スターダストは、一週間しか生きられないの、この戦争、いつ終わるのかしら。

湖の周りにも、アゾレックと同じようにホタルが舞っていた。隣に眠っているケイトを意識して寝付けないでいるロディ。テントを抜け出して湖のほとりへきた。そこへ、暑くて寝られない、と言いながらバーツも現れた。お前も?とロディ。寝られないのは暑さのせいだけではないのだ。顔を見合わせ苦笑いする二人。泳ごうぜ、と全裸になり出した野生児バーツ。驚いたロディだったが、煽られてロディも服を脱ぎ捨て、湖へ。バーツがロディを見て、おたく、ご立派。そこへケイトが、今頃どうしたの、と現れた。慌てて水の中へ沈み込む二人。バーツが、こいつが寝苦しいっていうから、と言い訳。ケイトさんもどう、と言われて、さっき浴びたからいいわ、とケイト。朝早いんだから、早く寝なさい、と言ってその場を去る。見られたかな、というロディに、だとしたら、おあいこだ、とバーツが潔く?言って、さっきのもやもやはどこへやら、少年に戻ってふざけ合う二人。

朝。ケイトより先にジープの前に乗り込むロディ。どうしたの、と聞くケイトに、この方が気が散らないから、と、運転席のバーツと意味深に顔を見合わせた。ケイトが、変な子ね、と言いながら、バルチカンまでの所要時間をバーツに尋ねる。寝不足のバーツが、3時間くらい、とあくびをかみ殺しながら答えるのに、大丈夫なの、とケイト。24時間耐久レースに比べれば、こんなものなんともないよ、とバーツ。

アゾレックのスコットと通信。ゆうべ戦闘があったんだ、と言うスコットの言葉に、驚く3人。いや、だいぶ苦戦したけどなんとかなったよ、と言ったスコットに、嘘だろ、とますます驚くバーツ。その様子に、スコットはクレアと顔を見合わせ、笑って言った。ほんとうさ、ただしその相手というのが、洗濯機だったんだけどな。珍しくスコットの冗談だったのだ。脅かすなよ、というバーツに、戦闘があったことは本当だが、それは北へ50キロの地点のことで、みんなはピンピンしている、と言う。皆の無事を確認できて3人はほっと一安心、ジープはあと1時間でバルチカンへ到着する、いい返事を期待して待っていろ、とそう言って、バーツは通信を切った。
クレアが、あなたも冗談が言えるのね、と驚いている。寝ずに考えたんだ、とスコット。一晩中考えてたの?とクレアがマジメに問うので、それも冗談冗談、と笑う。ぼくにだって、冗談ぐらいは言えるさ、とスコットはちょっと得意げ。

バルチカンが見えるところまで来た。車に搭載されているコンピュータが何かを示している。ケイトに言われて助手席のロディがリターンキーを押した。CODE NO.103の表示。未確認飛行物体。角度45度。方位7時32分。距離50キロ。秒速3.4キロ。接近中。驚いてその方角を同時に見る3人。バルチカン上空に、物体が飛んできた。Yがてそれは荒廃した街へ降下。それを見て、近くまで言ってみよう、とバーツ。

街郊外で、博士の乗ってきたと思われる輸送機を発見。ハゲタカのような鳥が何かをついばむ凄惨な光景を目の当たりにする。思わず輸送機に向かって走り出そうとするケイトを、ロディが押しとどめる。その時、一斉に鳥が羽ばたいた。敵の戦闘兵器が2機、音を立ててやってきたのだ。輸送機の側に着けた戦闘兵器のハッチが開いた。初めて見る異星人の姿。
異星人は、パイロットスーツについたバーニアのようなものを使って飛び跳ねながら移動し、輸送機を調べている。
その様子をじっと見ていたロディの脇に、ギャンザーがふいに現れた。今にも噛みつかんばかりに大口を開けてするどい牙を見せるギャンザーに、思わずロディが声を上げてしまう。それに気付いた異星人が、素早く戦闘兵器に乗り込んだ。あわてて逃げ出す三人。

敵をまくために、別れて逃げた3人だったが、ロディが追いつめられてしまう。銃を放つが、装甲には焼け石に水。戦闘兵器(ジャーゴ)の鋭い爪が振り下ろされ、これまでか、と思った瞬間。ロディの前に、その戦闘兵器が崩れ落ちた。
ロディを間一髪で救ったのは、地球軍のRV(ディルファム)だった。もう少しでプレスハムになるところだったな、と言いながら、地球軍パイロットがロディに手を差し伸べた。大丈夫、自分で立てます、と気丈に答えるロディ。
残る敵の戦闘兵器一機は、2機のディルファムをかわし、逃げ延びて行った。
そこへバーツも合流。残るケイトの身を案じて駆け出すロディ。
輸送機のそばにいるケイトを発見して走りよったロディだったが、ケイトの背後で立ちすくんだ。じっとうずくまるケイトの目の前には、開かれたアタッシュケース。風に乗ってきた何かが、ロディの足下にひっかかった。博士とケイトが写った写真だった。

地球軍の兵士から話を聞いて、バーツが怒りに震える。ロディたちを助けたディルファムのパイロットは、博士たちが生きているか、確認しに来ただけなのだという。アゾレック基地には子供ばかりまだ仲間がいるんだというバーツの言葉にも、命令がなければ動けない、という言葉を繰り返す兵士。そのうち連絡がいくはずだ、それからボーヤ、むやみに交信するなよ、それでなくても敵さん目を光らせてるからな。その言葉を残して、地球軍のパイロットは無情にも去って行った。悔し涙にくれるバーツ。

博士とケイトの写った写真を、ロディは黙ってアタッシュケースの中に入れた。写真をじっと見つめるケイト。


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おどけたことを言ってケイトを一生懸命笑わせようとするバーツ。若いながらも、いろんなことを経験してきたバーツの意外な、しかし真摯な人間性が伺える。

アゾレックにいるスコットとの通信場面。かなりビミョーなスコットの冗談もそうだが、ジープの3人にも注目。みんなが無事だということがわかって、ほっとしたロディが思わずケイトと顔を見合わせてしまい、照れて目をそらしうつむいている。スコットと通信を続けながらも隣のロディの様子に気付いたバーツが、これ見よがしに無線のマイクをロディにぶつける。それに関連する台詞はロディの「いてえ」だけなのだが、なんつーか芸が細かい。画面の端でも、物語をちゃんと展開してるんだなあ。

最後の場面。目の前の大破した輸送機には地球軍兵士がまとわりついている。機密情報保持のため、中の物資を運び出したりしてるんだろうか。

地上でバーニア?使う異星人。小惑星に設けたコロニー暮らしの彼らは、重力のある地上でもああいう機能を設けてあんなふうに動いてる、という設定だったのかなあ最初。地球人と姿形はそっくりだけど、飛び跳ねるように動いてる様は、なんか不気味、と思えたのに、こんな動きを見せる彼らは、ここだけだったような?ちょっともったいない。
…ピョンピョンしているミューラァというのも、見てみたかったような(笑)

参考:ミューラァlog/SPS-V: ANIMAX-バイファム6話

     

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