ストーリー

第5話 憧れの操縦席 ラウンドバーニアン始動

ジミーのハーモニカが突然やんだ。どうしてやめちゃうの?とカチュア。ジミーの気持ちを感じたのか、ずっといっしょにいてあげる、と。添えられたカチュアの手。あったかい、とジミー。やっとしゃべってくれたのね、喜ぶカチュア。そこへ、シャロンとペンチがやってくる。あれ?あんたらだけ?とシャロン。みんなを探しているようだ。

アゾレック基地地下の管制室は無事、通信施設も一通り生きていた。クレークが優先度トリプルエース(AAA)で方々に連絡を試みる。全てのチャンネルでコールしたが、どの基地とも連絡がとれない。防衛軍司令部のあるジワイメルウも同様だった。

クレークは、ひとりジワイメルウへ行くという。事情がわかるまで、下手に子供達を連れて行けない、と。

クレークが立った直後、ケイトはスコットに、みんなの面倒を見るように頼む。しぶるスコットに、あなたより年上がいて?今はみんなで力を合わせなければいけない、とケイト。クレアにも促され、しぶしぶ了解するスコット。管制室に戻るケイト。

苦手だな、とまだ言っているスコット。クレアの方が向いているという。クレアはガールズクラブ(ガールスカウトじゃないのね)の班長をやった経験があるからだ。あなただって来年はボーイズクラブの班長よ、とクレア。そっちの方がまだましだ、でも、それももうなくなった、とスコット。もう元の生活には戻れないことを感じているのか。そんなスコットを、博士が帰ってくるまでの間よ、と励ますクレアだった。

街の惨状を見ているロディとマキ。街の人たちもやられちゃったなんて信じられない、と言うマキと、きっとどこかへ避難したんだ、絶対、とムキになって答えたロディが、少し険悪なムードになる。そうとは知らないフレッドは、マキの帽子を、似合うよ、と。(兄弟なのに)似てないねえ、とマキ。

バーツが乗っていた片足のディルファムを見上げて、ケンツがうらやましそう。どこで見つけてきたの、とバーツに聞いている。バーツは、街の中に乗り捨ててあった、と言う。動かし方を教えてよ、とケンツ。無理だよ、とにべもないバーツ。おれだってさあ(できる、と言いたかったのか?)と言うケンツに、バーツは、乗るには身長が足りない、と物理的な理由を挙げた。乗りこなすには、最低160センチないとだめだという。ケチケチしないでさあ、となおもいい募るケンツに、おれだって歯を折ったんだ、お前なら首の骨だ、と言って脅かすが、ケンツはあきらめない。

ものすごい音に、みんな何があったと集まってくる。ディルファムが倒れていた。あれほど言ったのに、ケンツが動かそうとコクピットに入ったのだ。一本足だったらちゃんと動かせたのに、といいながらコクピットから音を立てて落ちてきたケンツを見て、皆ほっとする。出る練習もしておいた方がいいぞ、とバーツ。

ジワイメルウへ向かっているクレーク。いまだ基地からは何の応答もない。やはり何かあったのか。

ひとときの平和を満喫している皆。ディルファムを見て、大きな手だなあ、とロディ。ぼくもディルファムの操縦法を教わろうかな、と言ったスコットに、敵と戦うの?とマキ。スコットは、ぼくはただ、敵がここにせめて来たとき、ディルファムを操縦できたら助かるかなあと思って、という。それを聞いたケンツが、自分だけ助かる気なんだ、と浴びせかけた。一瞬にして不穏な空気に。大丈夫、博士が軍と連絡を取って、安全なところへ移してくれるわ、とクレアはとりなすが、もし軍と連絡が取れなかったら、とスコットは相変わらず不安ばかりをいい募る。ケンツまでもが不安顔。あんまりみんなを脅かすなよ、とバーツが一言。しかし、唯一の頼みの綱…大人であるケイトも、軍人ではない。ロディも、自分のことは自分で守るしかない、と言う。
バーツがいきなり、ロディの身長を聞いてきた。164、と答えるロディ。模擬コクピットを使って訓練しよう、ここならあるはずだ、とバーツは言った。手分けしてトレーニングルームを探す皆。身長が足りなくて悔しそうなケンツ。

ジワイメルウ基地に付いたクレーク。ここもまた、徹底的に破壊されていた。呆然と航空機から降り立ったクレークを、地下の秘密基地で見ている軍司令たち。すぐに、クレーク博士だと気付く。(曰く「クレアド星で発見された例の遺跡に異常な興味を示している学者」)

クレークは地下基地に案内された。まだ未完成なため、中は所々工事中。司令室へ案内される。
軍司令ベロア大佐は、クレークの言葉を遮り、コールしているのになぜ返事をしないのか、という話だろう、と自分から切り出した。そして、敵にここの存在を知られるのをふせぐためだとその理由を述べた。そういうことなら、と一応納得するクレーク。
ベルウィックがここまで攻撃を受けた原因は、民間人を避難させるためにあらゆる軍用船を廻した、その分戦力が落ちてしまったのだという。ここまで被害を受けていながらも、援軍を待って反撃を加える軍の意思に変わりはなかった。いかなる犠牲を払っても、クレアド星を手放すな、というのが軍の方針だった。地球以上に肥えた星を我々は手に入れたのだ、必ず奪回する、とベロア大佐。敵の国力など、恐るるに足らない、という。クレークは、彼らの文明度はわからない、と説得したが、勝負は文明度に必ずしも比例しない、要は戦力だ、と言ってきかない。
それ以上は追求せず、ひとつだけ確認したい、とクレークが切り出した。この攻撃を受ける前に、敵から何らかの通告はなかったか、と。ベロア大佐は、幾度となくあったらしい、とあっさり認めた。
2年前、異星人は、クレアド星から撤退しろ、と期限付きで通告していたのだった、それも地球語で。しかし軍司令は、それを無視するのは当然だ、という。クレアドは無人だった、専住権は我々にある、というのがその理由だった。すでに援軍の第一陣は地球を立っている。この戦争はもう止められない。
わかりました、とクレークは席を立った。ひとつだけ、お願いがあります、と、アゾレック基地にいる子供達の保護を訴えた。船があるなら地球へ送ろう、とベロア大佐は約束した。

トレーニングルームが見つかった。スコットとロディにコクピットの説明をするバーツ。それを文字通り指をくわえて見ているケンツ。
すぐに操縦に適応したロディ。さっそくビームガンを使っている。スコットは障害物ひとつ避けられない。
そこへ、ケンツが珍しく遠慮がちに声をかけてきた。おれにもやらせてよ、というケンツに、順番よ、あたいが先なんだから、と、マキもやる気まんまん。
交代だ、と降りてきたロディに、ところで、本番やってみないか、とバーツがひそひそ。もう一つの格納庫に新品が5機あるのを見つけていたのだ。そのままみんなを置いて二人して行ってしまった。シミュレーターの中で、ねえどうすんだっけ!と叫んでいるマキ。

アゾレック基地へクレークから連絡が入った。ジワイメルウへの受け入れは拒否されてしまったが、ジェイナスで地球へ避難させてくれることになった、地球へ送り届けてくれる乗組員と一緒にアゾレック基地へ向かっている、と。そして、ベルウィックにいた人々がすでに避難していること、乗船名簿のコピーを預かってきたことなどを伝える。喜ぶケイト。みんなに知らせてくる、とクレアは管制室を出る。

ディルファムに乗り込んだロディとバーツ。操縦してみて、以外と振動が少ないことに驚くロディ。それを見て、足が2本あればおれだって、とケンツが格納庫奥へ入り込んだ。
メカの起動はできるが、いかんせん足が届かない。必死に足を伸ばすケンツ。そのとき、シートベルトが伸びて前へつんのめり、レバーに足がぶつかってしまった。勢いよく駆け出したディルファム。前を歩いているロディとバーツのディルファムに追突しそうになる。それをすんでのよころでよけた二人。ケンツの乗ったディルファムが、二人の間に倒れ込んできた。
そこにクレアが、どうしたの、と掛けてきた。何またあの寸足らずさ、とシャロン。すんたら?とクレア。そのすんたらからの返事がなく心配するロディに、このくらいの衝撃で死にはしない、とバーツ。こらーと大声で声をかけると、案の定うるさい!と元気が声が返ってきた。

そのころ、クレークの乗った軍用機にミサイルが迫ってきた。やはり先ほどの通信をキャッチされていたらしい。そちらにも現れるかもしれない、とクレークはアゾレックのケイトに知らせた。直後、右エンジンに被弾。クレークとの通信は途絶えてしまった。クレークの名を呼び続けるケイト。

そうとも知らず、地球に帰れる、という話をクレアから聞いた子供達大喜び。ベルウィックやクレアドから脱出した民間人は地球へ向かった、自分たちの両親も、きっと無事に地球へ向かっているに違いない。
地球への想いをはせる子供達。

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スコットは何かに付けて物事を悪い方へと考え、クレアが楽観的にそれをフォローする。マキは感じた(思う、ってほど深く考えてない)ことをズケズケいい、ロディーは負けず嫌いで、フレッドは無邪気。ケンツは何かにつけ人に迷惑をかけても身長が足りなくても、軍事方面のことには首を突っ込みたい。(家族が軍人であることはもちろん、軍のことは誰より知っているプライドが、彼をしてそうさせるのかもしれない)バーツは空気を察してバランスの取れた意見を言える(だからロディと一緒の時は暴走することもあり)
いろいろに組み合わせるとたくさんパターンが出てくるわけですな。それも、一人一人のキャラがちゃんと立ってるからできることですな。

この時点では、後半の、まとまりのある13人の印象はまるでなく、みんな思い思いのバラバラな行動をしている。そして、みんなどこいったーどこいったーと探しまわっている。どこへ言ってくる、という報告がないのだ、とわかる。組織において、報告連絡相談は必要不可欠とされているが、もしかしてそういう考え方も話に取り入れられたりしてるんだろうか。

仕事柄、ベロア大佐の背後にある絵が気になるのだが、ジャック=ルイ・ダヴィッドのナポレオン?

参考:ミューラァlog/SPS-V: ANIMAX-バイファム5話

     

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