ストーリー

第19話 もう一つの戦争 ジェイナスの小さなママ

ベルウィック星軌道を離脱して10日目。

アストロゲーターがものすごいスピードで向かってくる。が、どうも動きがおかしい。イエロー警戒態勢発令。ロディとバーツがRVに向かう。 砲塔にはジミーとケンツが向かう。クレアはどこだ、とスコット。マルロ達を見ている、とペンチが答える。こんなときに、と苛つくスコット。

風呂を出たばかりのマルロ・ルチーナ・クレア。クレアに、ママとおなじにおいがする、とルチーナが言う。それを聞いて、そんなトシじゃないわ、 と困惑ぎみのクレア。

通路を掛けていくロディとバーツの声が聞こえた。敵らしい。行かなくちゃならないから、大人しくベッドに入って、というクレアに、おねむするまで 一緒にいてくれるっていったじゃないかとマルロがむずかる。明日一緒に遊んで上げるから、と不安げなマルロとルチーナを残し、クレアはブリッジに向かう。

敵の動きがとまった、とカチュアは言いかけ、「いえ、そうではなくて」相対速度が0だという。敵はジェイナスとおなじ速度で後退していた。敵の意図を はかりかね、緊張状態のジェイナス。

攻撃の気配がないため、スコットは警戒態勢を一時解除。

ブリッジにマルロとルチーナが来てしまう。苛立っているスコットは、子供の管理をしっかりしてくれ、とクレアに八つ当たり気味に言う。

いつまでこの膠着状態が続くんだ、とイライラ度が増すスコット。子供達を寝かしつけるのに手間取ってなかなか戻ってこないクレアにまで 怒りの矛先を向ける。いらいらしたって始まらない、と、ブリッジに戻ってきていたロディとバーツがなだめる。とりあえず交代で休憩しよう、ということに。

何か飲むものを持ってきてくれ、とスコットに言われ食堂で準備していたクレアの背後に、マルロが泣きながら来た。おねしょだ。たまたま休憩に現れた シャロンがそれを囃した。笑い事じゃないわ!とクレア激怒。わたしの身になってちょうだい、子供達の替えの下着はもう一枚しかないのよ、と。

その後も膠着状態は変わることなく、交代の時間がきた。ロディがスコットに休憩をすすめたが、ここを離れるわけにはいかない、と責任感の強いスコットは 言う。そのとき、マキとシャロンが、クレアの剣幕について話しているのがスコットの耳に入った。

マルロの下着を洗っているクレア。そこにルチーナが来た。マルロが赤い顔をしている、と恐る恐る訴えるが、精神的に自分のことで目一杯になっている クレアはルチーナを追い返してしまう。そこにスコットから通信。くだらないことは後回しにして早くこい、と言われ、ますますショックを受けるクレア。

ブリッジでは、スコット、ロディ、バーツが相談中。ロディとバーツは、RVで様子を窺いに出ようというが、スコットは敵を刺激するその案に反対している。 するとそこへクレアが現れた。開口一番、「くだらないことって、何よ!」とクレア。好きこのんで洗濯や縫い物をやってるんじゃない、私はあの子たちのママ なんかじゃない、ただあの子達がなついてくれるから、一生懸命やっているだけなのだ、と。自分はまだ14才なのに、あれもこれも、おまけにママの役まで、 と言い、もうたくさん、と走り去る。
初めて見るクレアの剣幕に、クルー呆然。

結局、バーツとロディはRVで出撃。

クレアは、自分のママとの記憶を思い出していた。優しいママに甘える自分がいる。その時、水音が聞こえた。不安な顔つきで、ルチーナがタオルを水に 浸していた。

マルロが酷い熱を出している。どうして早く知らせてくれなかったの、とクレア。だって、おねえちゃん…と言葉を濁すルチーナに、先ほどの自分を 思いだし、そうだったわね、と悔悟する。

バイファムに何か通信が飛び込んできた。敵のものらしい。ロディは分析のためジェイナスにそれを転送。
その時、敵が少し動いたことにペンチが気付いた。敵が後退のスピードを上げている。それを聞いたロディが、やつらがどうでるかつついてみる、と バイファムの出力を上げた。罠だ、とスコットが叫ぶが、遅かった。接近してきたバイファムを、敵(ルザルガ)が攻撃しはじめる。ふかしすぎて すぐには反転できないロディ。そのまま突っ込め、とバーツ。バーツが追いつき、なんとか形勢挽回。

居眠りをしていたケンツとジミーがスコットの声にたたき起こされ、砲台から射撃を開始。敵が一瞬ひるむと同時に、シャロンが、 準備していたVRC(偵察用ロケット)を射出。敵はVRCを追ってジェイナスから離れていった。

マルロが目を覚ました。ベッドの脇でルチーナとクレアが眠り込んでいる。自分の看病のためだとわかり、二人に毛布をかけるマルロ。

先ほどの敵の通信の解読結果。

あとひとつ、あったはずだぞ
しかし、あの地点、消えていたということは、まさか、敵の手に
その可能性、十分あります
現に、この付近、交信状態極めて悪く感じます
別の原因は考えられないのか
連中、逆に利用するとは考えられない
しかし

この通信内容がどういう意味なのかをはかりかねているうち、先ほど射出したVRCが、敵に撃ち落とされた。撃墜直前に何か捉えたようだ。拡大・増幅した 画像を見て、敵の中継基地だ、とケンツ。ジェイナスとの距離約5光秒、ジェイナス進行軌道上にあるという。所要25時間。新たな障害の出現に、苦悩の表情を 浮かべるスコット。

眠り込んでいたクレアが気付いた。肩に毛布が掛かっている。目の前には、眠るルチーナとマルロ。ルチーナが「ママ」とつぶやいた。幼い二人の精一杯の 気持ちに、このジェイナスの小さなママになる、と思い決めるクレアだった。

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※敵の通信の分析結果。地球語に翻訳したものの再生のはずだが、とても感情表現豊かな音声になっている。地球軍が、民間人に異星人の存在を全く 知らせない一方で、ここまでの翻訳ができる程度にククト語についての情報を得ていたということになる。ククトニアンの一人や二人、捕虜にして調べたということなんだろうか。

     

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