ストーリー

第20話 立てスコット!リーダーはきみだ

敵中継基地を発見した翌日。

スコットは何かの動物のようにブリッジをうろうろしていた。
敵がジェイナスに向かってビームを打ち込んで来ている。しかし、コンマ02以下の命中率という精度の低さだった。一体敵はなんのためにそんなことをしてきているのか、ビームの閃光がブリッジに走るたび、スコットのイライラは募るのだった。

スコット・ロディ・バーツが3人で相談している。敵の中継基地のことだ。先手を打って攻撃しなければ手遅れになる、というロディとバーツ。危険だ、と言い張るスコット。

いつまでも平行線の話し合いに、バーツが作戦のプログラムを作ってみると言う。成功の確率を探るのだ。それでいいな、とロディが言うと、スコットは気もそぞろに背中をぼりぼりかいて言葉を濁した。言っていることを聞いているのかいないのか、スコットを不審に感じるロディとバーツ。ちゃんと風呂に入っているのか、とバーツが声を荒げると、自分が決めたとおり3日に一度は入っている、とバーツ以上にスコットは声を荒げた。
一方的に話しを打ち切ったスコットは、さっさと持ち場に戻れ、と二人に言った。ロディがむっとして、何かを言い返そうとする。ロディを制するバーツ。ブリッジに重苦しい雰囲気が流れた。

背中をぼりぼりかきながら、リーダーは自分なんだぞ、と怒りがまだ収まらない様子のスコット。

ロディも怒っていた。バーツが、ロディに、わかってやれ、とスコットを擁護する。危険の少ない方法をスコットなりに考えているんだ、と。

エレベーターのボタンを、バーツが下にセットした。どうせやるしかないんだろ、と、向かったのはニュートロンバズーカのある格納庫だった。ケンツは、すでにマニュアルを読み終わって敵基地攻撃の準備を万端済ませていた。
マキもパペットファイターで援護する、と言う。
出撃メンバーが自然に決まった。

ロディ・バーツ・ケンツ・マキの4人は、バーツの用意した敵の中継基地の映像を見ながら作戦を立てた。ニュートロンバズーカで砲撃する箇所を、ケンツに示すバーツ。

スコットの怒りはまだ収まっていなかった。緩慢な動作で洗面所に向かうスコット。鏡に映る自分の顔や手を見て、何かの異常に気付いた(ジンマシン?)。しかし、リーダーとしてばしっと決めなければ、という思いにとらわれているスコットは、よろけながらもブリッジに戻った。
明らかにおかしいスコットの様子に、皆が心配するのだが。
コンピュータに向かっていたロディが、プログラムを走らせようとした。それより、とスコットはそれを制し、リーダーとして言っておきたいことがある…と始めた。今は目前の問題の方が先じゃないのか、と言うバーツたち。自分の言うことを聞かないメンバーたちに、次第にスコットはヒステリックになっていき、とうとう膝から崩れ落ちてしまった。スコットが酷い熱を出していることに気付くクレア。皆にかかえられるようにして、医務室へ無理矢理連れて行かれる。その間も、悪態を付き続けるスコット。

小さい子供達がブリッジでスコットのことを心配していた。疲れているだけだ、とバーツが皆を安心させる。
とりあえずスコットが直るまで、カチュアがスコットの代わりを務めることになった。

スコットと、スコットの看病をしているクレア・ペンチを除くメンバーが、コンピュータの分析結果を聞いている。
特定空域(敵基地周辺)を通過するための安全確率について、このまま航行した場合、敵の攻撃を受ける確率 88%
現在のスタッフで応戦した場合、特定空域を通過できる確率 18%
先制攻撃を実行した場合、攻撃が成功する確率 62%

その数字を聞いて、ロディとバーツは驚き顔を見合わせた。思っていたより成功確率が小さかったのだ。しかし、選択肢は他にない。格納庫のRVを見ながら、決意を固める二人。

作戦が開始された。ロディ・バーツはRVで、マキはパペットファイターで、ケンツはニュートロンバズーカで出撃する。しかし、ハッチを開けてくれ、というロディに、カチュアは自信がない、と言った。平時ならともかく、戦闘状態の艦長代理を務められるのかどうか。しかし、スコットが直るまで待っているわけにはいかない。
殆どなし崩し的にそれは始まった。

スコットが、わっと声を上げながら目覚めた。側についていたクレアがスコットの額に手をあてて、熱の下がったことを確認する。
スコットは悪夢を見ていた。みんなが死ぬ夢だった。みんなが好きなんだ、仲間が死ぬところなんか絶対に見たくない、と涙を流すスコット。もう少し休んでいた方がいい、とクレアに言われ、スコットは再び床についた。

いつもは強気なケンツが、ジェイナスの姿が遠くなったことにおびえている。
ロディはカチュアに現在の位置と状況を確認した。ジェイナスとの相対位置を伝えてきたカチュアに、語気を強めるロディ。それはロディもわかっている、敵の目標までの距離を聞きたかったのだ。
到着まであと5分あまりと聞いたロディは、2分後にロックオンに入る、とカチュアへ連絡。
まだ敵の動きはない。

カチュアが、ジェイナスから出ている変な波に気付いた。艦内をチェックしたシャロンによると、変な波は、カーゴルームから出ているらしい。大きな周波数ではないものの、放射状に出ている、という。電波ではない。
カーゴルームには、ケイトの遺した遺跡が入っている…

敵中継基地に接近したロディたち。敵もようやく動きを見せた。3機のルザルガが出撃してくる。
懸命に艦長代理の任をこなすカチュア。

交戦状態の中、ケンツの姿を見失うロディとバーツ。カチュアが、所定の位置をとっくに通過している、とケンツに警告。位置が近すぎると、爆発に巻き込まれる危険があるのだ。が、ケンツからは何の応答もない。
敵中継基地からは、ビーム砲が容赦なく放たれていた。その間をなぜだかゆっくりと、ケンツは中継基地に的を絞っていた。
皆が気をもむ中、ようやくケンツのバズーカが放たれた。時間をおいて、爆発炎上する敵基地。
退却を開始する。敵2機を、ロディとバーツが引きつけ、その間にケンツを逃がす。しかし、慣れないカチュアの指示が具体的かつ的確でないために、戦況は混乱の様相を呈してきた。上から敵が来る、と言われても、それがバーツに対してなのかロディに対してなのかがわからない、という具合。

ベッドで聞いていたスコットが、それじゃだめだ、とベッドを飛び出した。どこへ行くの、と言うクレアとペンチに、砲座に行くように指示し、自らはブリッジへ向かう。

どうすりゃいいんだ、とますます混乱するロディとバーツの耳に、スコットの声が飛び込んできた。
ロディ、絶対方向8時、上下角76、一気に突っ込め。
ケンツ、お前の任務は成功したんだ、あとはただ急いで帰還することだけを考えろ。
マキ、きみのうしろに敵が迫っているぞ、後方に向けてミサイル全弾打ち込んで振り切れ。…
次々と的確な指示を出していくスコット。

エネルギーが切れそうなロディたちRVに変わって、ジェイナスの砲座からビーム砲が一斉に放たれた。敵が第3警戒空域まで離れていく。
カチュアに航路の確認を指示し、ロディたちの回収を確認後、スコットはブリッジを出て行った。

精も根も尽き果てたロディたちの前に、スコットが現れた。ふたりとも無事でよかった、と笑ったが、すぐに厳しい顔つきで、他に手がなかったなんて言わないでくれ、こんな賭けみたいなことは、二度としたくないんだ、と言った。神妙な顔になるロディとバーツ。
再びスコットは笑いかけ、ブリッジでみんな待っているぞ、と言い、医務室へ戻っていった。

その姿を見送って、負けたな、とバーツ。スコットはやはりみんなのリーダーだ。

     

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