ストーリー

第10話 宇宙か地かーー基地攻防の大決戦!

管制室で眠り込んでいたケイトが、コンピュータが発する警告に気付いた。敵ではなく流星だったが、いつ敵が襲ってきてもおかしくない状況だった。無事に子供達を地球に送り届けるには、軍に頼るほかないのだが、無線での連絡が取れない以上、ジワイメルウへ自分が行って、直接話を付けてくるしかない。

バーツがトラックに荷物を積み込んでいる。ジワイメルウへ一人乗り込み、話を付けてこようというのだ。付いてくる、と言い張って聞かないケンツともめているところへ、スコット・クレア・ロディが現れた。事情を聞いたスコットは、それならみんなで行動した方がいい、危険というならこの基地にこのままいるのも同じだ、と言う。しかし今度はロディが異を唱えた。今はこの星全体が危険だ、いっそ第二ステーションに避難したらどうか、と。

軍に保護してもらった方がいいと思う、というバーツの意見に対し、その代わり戦闘に巻き込まれる危険も高いとロディは主張した。連絡の未だないジワイメルウ基地が万一、敵に壊滅させられていたらーー。
しかし、第二ステーションに戻るにはシャトルを使わなければならないが、操縦できる人間がいない。話にならない、とジワイメルウへ向かおうとするバーツ。今バラバラの行動はまずい、とバーツを押しとどめるスコット。しかしロディも自分の考えを曲げようとしない。そこでどちらの方法が安全か、コンピュータでシミュレートすることになった。

管制室のケイトは、既にシミュレーションプログラムを組んでいた。だが全体条件の幅が大きすぎ、結論が出ない。仕方なくスコットは、ケイトを伴い、みんなが集まっている場所へ向かった。

ケイトとスコットの到着を待たず、バーツとロディの二人は、皆に選択をさせていた。ジワイメルウを選んだのは、クレア・マキ・ペンチ・ケンツ。第二ステーションを選んだのは、カチュア・シャロン・フレッド・ジミー・たまたまそこに駆け込んできただけだったがルチーナとマルロ。
そこにケイトとスコットがやってきた。シミュレートはデータ不足でだめだったと聞いたバーツは、スコットとケイトにも選択を迫った。折角まとまった仲間が別れてどうする、というスコットに、誰しも自分が助かると思う方を選んだ、と語気を強めて言うバーツ。困ったようにスコットがケイトを振り返ると、ジワイメルウへ行った方がいいと思う、とケイトは言った。ケイトが自分の案に賛成してくれることを密かに期待していたロディは、落胆した。
みなで一緒に行動した方がいい、今の自分たちは軍隊の力を借りなければどうにもならない、と言うケイトの言葉に、地上に残るのはごめんだ、と半ば意地になったように言いはなち、その場を立ち去るロディ。分裂する子供たち。
ケイトはスコットにロディ説得を託し、ジワイメルウ行きのトラックに乗った。

シャトルの操縦室にいるロディとカチュア。難なくメイン電源スイッチを入れたカチュアにロディが感嘆。カチュアはシャトルの操縦マニュアルを見つけていたのだ。そこに、スコットが現れた。説得を試みるスコットだったが、ロディはやはり聞かなかった。とにかく連絡があるまで発進を控えるように言い、スコットは管制室へ向かった。
管制室では、誰もいない間にレーダーが警戒態勢グレード5を告げていた。驚くスコット。敵の目標地点は、ジワイメルウ基地だった。その時、ジワイメルウ基地から優先度AAAで緊急連絡。喜びもつかの間、入ってきた内容は驚くべきものだった。ジワイメルウは敵の総攻撃を受けている、きみたちは独自の判断で脱出せよ。
バーツ達がそっちに向かっているんです、と叫ぶスコットの声が、管制室にむなしく響いた。

スコットはバーツにこの事態を知らせるべく無線でコール。だが、何の反応もない。通信の電源を切っているのだ。愕然とするスコット。

ケンツがトラックの外の光景に何かを見つけた。前線基地が煙を上げている。敵の攻撃を受けた跡だった。ケイトが無線でジワイメルウを呼び出した。帰ってきた答えは、ジワイメルウ基地はもはや存在しない、壊滅状態だ、という信じがたい言葉だった。これ以上の交信は危険だ、と無線が切られた直後、大規模な爆発が山の向こうで起こった。声もなく見つめる子供達。

バーツたちの後を追おうとジープに飛び乗ったスコットを、ロディが止めた。途中で敵に遭遇するかもしれない、と、大きなロケットミサイルを引っ張り出してきたのだ。ロディの仲間を思う気持ちに変わりはないことがわかり、安堵するスコット。

バーツ達の存在をかぎつけて、とうとう敵が迫ってきた。一旦は森へ逃げ込んだトラックだったが、このまま無事に逃げ切れそうもない。バーツは、皆にトラックから降り森の奥へ逃げるよう指示し、トラックで一人走り去った。一人で逃げた!と叫ぶケンツ。しかしケイトはバーツの真意を理解していた。囮になったのよ、と言うケイトの言葉に、驚く子供達。
バーツのトラックは、攻撃をかわしながら敵の目を引きつけていた。だがとうとうかわしきれなくなった瞬間、バーツは敵の機体めがけてトラックを突っ込ませた。むなしく撃ち落とされるトラック。
その様子を目にし、みんなが死んでしまったと思いこんだロディとスコットは、敵討ちに燃えて突進した。できるだけ敵に近づき、2発のミサイルを同時に発射するーー。

ケンツが泣いていた。バーツが死んでしまった。
と、彼らの目の前をものすごい勢いで走っていくジープが。スコットだ。
それを見て、弔い合戦だ、と駆け出す皆。

敵の攻撃を真正面から受けながら、スコットは敵に突進していった。ロディが何度もスコットにミサイル発射の指示を促すが、とりつかれたようにスコットはジープを走らせている。そして限界ギリギリの至近距離にまで迫ったとき、いまだ、とスコットは叫んだ。ミサイルを発射させるロディ。
ミサイルは見事に命中し、敵機は煙を上げながら落下していった。爆発炎上する機体。

ロディとスコットの元に、ケンツたちが走り寄った。だが、その中にバーツの姿はなかった。
重苦しい空気に包まれたとき、背後から陽気な声が聞こえてきた。バーツだった。トラックが撃ち落とされる直前、飛び降りていたのだ。
生きていたじゃんか、と涙を流すケンツ。皆がやっと一つにまとまった。

これからは軍隊をあてにはできない。この先どうすればいいのか、スコットにはその答えがまだ見つからなかった。

     

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